第一志望の大学に入りたいから浪人した結果、変わってしまった家族関係? 家族のトラブル
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生活がガラリと変化

左紀子さんは、今まで近所で週に3回~4回程度のパートをしていましたが、
泰司さんの浪人が決まると、派遣として週に5回フルタイムで働き始めました。
そして泰司さんも、近所の卸市場で早朝や深夜はバイトをして、
昼間は予備校に通い勉強する生活が始まりました。

しかし、泰司さんの友人達が夏休みに入る頃から、
泰司さんは休日にキャンプやカラオケに出かけていくように。

左紀子さんが「あなたは浪人生なんだから、そんな暇はないでしょう?」と言っても、
「うるさいな。息抜きも必要なんだよ!」と、聞く耳を持たずに出かけてしまっていました。
そして夏の模試の結果は、想像通りに右肩下がり……。
予備校の先生にも左紀子さんにも気を引き締めるように言われた泰司さんでしたが、
そのころから、泰司さんの様子は明らかに変わってしまっていました。

予備校には通っていましたが、以前のような学習意欲は感じられず、
部屋に様子を見に行くと、泰司さんはいつもパソコンに向かい何かを一生懸命作業しているのでした。
左紀子さん夫婦は叱咤しながらも、どうにか勉強するように導く努力をしました。
しかし、その日にあったことや将来のことなど、よく話してくれていた以前の泰司さんの姿は何処にもなく
ほとんど何も話さなくなり、食事の時だけリビングに出てくるような生活に。
左紀子さん夫婦も、お金のことでよく揉めるようになり、家の中は明らかに殺伐としてしまっていました。

ちょっとした口論がきっかけで……

ある日、泰司さんは予備校から帰ってくると、挨拶もせずにまっすぐ部屋に入っていきました。
左紀子さんが、こっそり部屋に様子を見に行くと、パソコンに向かって買ってきたものを出しながら、
なにか説明をしているような様子が見て取れました。
左紀子さんが、部屋を開けると、泰司さんはあわててパソコンを閉じて
「なんだよ!勝手に入ってくるんなよ!」と激怒。
左紀子さんが「勉強もせずに、なにしてるの?」と言ったことで、口論になりました。
そして、左紀子さんが「そんなに遊びたいなら、受かった大学に行けばよかったじゃない?
来年、第一志望に落ちても、もう浪人はできないのよ!」と言うと、
泰司さんは左紀子さんをにらみつけ、「どうせ金のこと言ってんだろ!出てけよ!」と、
立ち上がり、左紀子さんを部屋から追い出しました。
左紀子さんは、そのまま家に居てもイライラするので、車に乗って近所のスーパーに買い物へ行きました。
そして、家に戻ると泰司さんの姿はなく、(また遊びに行った!)と、
左紀子さんは、腹わたが煮えくり返る思いでした。
しかし、それから2日経ち、週末が明けても泰司さんは帰ってきませんでした。
予備校からも来ていないとの連絡があり、左紀子さんが携帯に電話をかけると、
携帯の電源は入っていませんでした。さらにはラインを送っても未読……。
部屋を見に行くと、いつも使っているリュックとパソコンがないことに気が付きました。
そしてその日も泰司さんは帰ってこず……。
夫と話して、警察に失踪届を出すことにしました。
警察でも、スマホの位置情報を調べてはくれましたが、電源が切られているようで、
有力な手掛かりを得ることはできませんでした。

そして左紀子さん夫婦は探偵に家出捜査を依頼することに。
調査の結果、泰司さんはなんと家からかなり離れた、
第一志望の大学の近くのサウナで発見されました。
左紀子さんが迎えに行くと、泰司さんは帰宅することに黙って応じたそうですが、
帰り道、左紀子さんに「したいことが分からなくなった」と話したそうです。

泰司さんにとっては、浪人も、家族の応援も相当なストレスとプレッシャーだったのかもしれません。
しかし、それは自分で選んだ道。
そこから逃げていては、第一志望の大学に合格することなど出来ません。
泰司さんには、もう一度自分の気持ちと向き合って、進むべき道を見つけて欲しいですね。

(2018.11.27)

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