兄について分かったこと

親戚の人の話だと繁雄さんは、マツさんと疎遠になってから他の親戚とも疎遠になり、
友人もあまり作らず小さなアパートでひっそりと暮らし、
5年前に末期癌で他界していた事が分かりました。

葬儀は繁雄さんの子どもが密葬で行ったそうで、
話を聞いた親戚の人もそれ以降のことは分からないとの事でした。

そして千絵さんは、そのことをマツさんに報告、もう会うことは出来ないと伝えました。

するとマツさんは、そういう事なら「せめてお墓参りに行きたい」と言うのでした。
しかし、すでに千絵さんが連絡出来る親戚は全て当たっていたので、もう成す術が無い現状。
しかし、「どうしても繁雄さんのお墓参りをしたい」というマツさんの願いを汲んで、
千絵さんは探偵にお墓探しを依頼することにしました。

生前に死後のことも考えていた兄

調査の結果、繁雄さんは生前に永代供養の墓を申し込んでいたことが分かりました。
繁雄さんはずっと一人で、亡くなってからも誰にも迷惑を掛けないように
準備をしていたのです。

マツさんはそれを聞いて「兄は寂しかったでしょうに・・・」と泣いていました。
そして、マツさんは「私が動けるうちは、兄に会いに行く」と
定期的にお墓参りに行く事を心に決めたそうです。

「後悔先に立たず」と、良く言いますが、逢う事を先延ばしにし、やっと逢いに行った時、
既にその人は亡くなっていたら、逢いたいというその願いはもう叶いません・・・。
マツさんは長年疎遠になっていた兄と、お墓参りという形で繋がり、
マツさんにとってそれが、これからの生きる糧になれば良いですね。

(2019.02.06)