誰よりも分かってくれる「あの人」は、本当に味方なの? 中高生を狙う「理解ある大人」の正体は!? 家族のトラブル
  • facebook
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINE

娘に理解してもらえるように歩み寄って

紅羽さんの本当の気持ちを聞き出した聖子さんは、
学区外の私立高校に進学する選択肢もあると提案をすることに。
紅羽さんが受験できる学区内の高校は、バスと歩きで1時間程度の通学時間がかかる場所にあったため、
学区外でも通いやすく、
学力もついていける学校をいくつか探し、
押し付けにならないように「こんなところもあるよ」と、話し続けました。
紅羽さんは、まだ迷いがある様子でしたが、徐々に聖子さんの提案に素直に耳を傾けるようになり、
高校進学へのやる気を見せ始めていました。

しかし、ある日「ママに話してほしい人がいる」と……。
聞くと、相手はネットで知り合った人で、今、いろいろな相談に乗ってもらっている人とのことでした。
何事なのかと思い、聖子さんがWEB通話を代わるとその人が突然
「紅羽さんは悩んでいますよ。僕が生活の面倒を見るので、紅羽さんを自由にしてあげてほしい」
と言ってきたのです。
聖子さんはゾッとして「ちょっと、あなた、何を言ってるのですか?」と、すぐに電話を切り、
紅羽さんに「あの人は何!? 彼とはもう絶対に連絡とらないと約束しなさい」とキツく叱りました。

揺れる気持ちを利用して……!?

しばらく紅羽さんはいつも通りに過ごしていましたが、ある日の夜「やっぱり高校へは行きたくない」と、
聖子さんに話をしてきました。
「どうしたの?」と聞いても

「高校だけが人生じゃない」
「勉強が得意じゃないのに、高校へ行くのは負けにいくようなもの」
「ママは、私のことを言いなりにしたいだけ」

など、今まで聞いたことがないような理由を感情的に話し、聖子さんの言葉には一切耳を傾けずに、
自分の部屋へこもってしまいました。

翌日、夕ご飯の前に、コンビニへ行ってくると言って出かけた紅羽さんの帰りが遅いことを心配した
聖子さんが、紅羽さんの携帯電話に電話をかけると、着信音が部屋から聞こえてきました。
部屋を見に行くと下着と少しの着替えとお財布が持ち出され、
机の上にはスマホと生徒手帳が置いてありました。
すぐに携帯電話のロックを解除しましたが、
先日話した「悩みを聞いてくれる人」とのメッセージだけが消され、あとはそのまま……。
聖子さんはすぐに夫に連絡をして、警察に直行しました。
警察でも「事件性」を考慮して動いてくれるとのことでしたが、一刻も早く足取りを追いたい聖子さんは、
すぐに探偵に人探しを依頼しました。

最寄駅からのターミナル駅へ先回りし、調査をした結果、
新幹線乗り場のある駅をウロウロ歩いている紅羽さんを発見。
聖子さんが傍まで行くと、「なんでママがここにいるの!?」と一瞬逃げようとしたものの、
すぐに観念した様子を見せました。

紅羽さんは相談している相手から「こっちへ来れば紅羽さんの好きなように生きられるよ」と言われ、
家出して指定した駅のカフェへ来るように指示されていたそうです。
しかし、途中で怖くなった紅羽さんは、どうしようかと駅でウロウロしていたとのことでした。

聖子さんは「もしかしたら殺されていたかもしれないのよ。本当に見つかって良かった」と
紅羽さんを抱きしめました。
紅羽さんは「頭ではいけないことだとわかっていたのに、ごめんなさい…」と泣いて謝っていました。

親切に悩みを聞いてくれるからと言って、全ての人が「親身」になってくれているとは限りません。
特に今回は、相手の目的も分からず、一歩間違えば事件になっていたかもしれません。
聖子さんの早い判断で紅羽さんを守ることができて、本当に良かったですね。

(2019.04.16)

  • facebook
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINE
人気記事ランキング
注目タグ
Twitter
Facebook