こんにちは。らむねです。
子どもの結婚相手がしっかりとした人であっても、その人の家族に不明な点が多くある場合、心配するのは当然のことです。
特に悪い噂はどこからともなく聞こえてきて、広がってしまうもの。今回は、当人同士だけが納得して結婚話を進めた結果、家族を巻き込んでしまったお話です。
ハイスペックな息子の結婚相手が結婚に乗り気ではない理由……その理由の裏に隠されていた秘密とは
新村翔さんは、大手デベロッパーに務める28歳。入社当時から成績も良く、上司にもかわいがられ、将来有望な期待の星として注目されています。
将来は独立して会社を経営する夢のため、飲み会のメンバーや付き合う人は「仕事上メリットのある人」を優先に、生活全てを仕事中心に捧げてきました。
都心に戸建てを持つ翔さんの父もまた大手商社の出身で、今は事業を起こして会社を経営。そんな翔さんのことを多方面から応援していました。
兄妹のいない翔さんは小さなころからお母さん子。今でも母の誕生日には2人でレストランへデートに行くなど、頻繁に連絡を取り合い会っていました。
尊敬する父と仲の良い母、翔さんにとって自慢の両親は、昔から翔さんの一番の理解者でした。
仕事優先だった息子にできた彼女
仕事一筋で頑張ってきた翔さんに彼女ができたのは半年前のことでした。
根本音羽さん(32歳)とは人数合わせでしぶしぶ参加した友人主催のコンパで知り合いました。音羽さんも翔さん同様、他の参加者のようにガツガツとした様子はありませんでした。
他の参加者が、自分のアピールポイントを言ったり何かと褒め合ったりしている中、変にでしゃばったりしない音羽さんを、翔さんは最初から「感じがいい」と思っていました。
そして翔さんは、コンパが終わる直前に音羽さんに自分から連絡先を聞いて、交換をしました。
音羽さんは、快く連絡先を教えてはくれたものの、その後の翔さんの連絡に対しては「事務的」な返事ばかり。誘っても仕事を理由に断られてしまい、なかなかデートの約束をするまでには至りませんでした。
しかし、断られれば断られるほど、翔さんは「音羽さんにもう一度会いたい」という気持ちが大きくなり、粘りに粘って、やっとデートの約束を取り付けることができました。
デート中も、翔さんを誘ってくる他の女性にはない「おしとやかさ」を持つ音羽さんに、どんどん惹かれていくのが分かりました。そして、1回目のデートの帰り道、翔さんは勇気を出して音羽さんに交際を申し込んだのです。
すぐには返事をもらえませんでしたが、翔さんの猛烈なアプローチの甲斐あって、音羽さんは交際をOKしてくれました。
そして交際半年、交際当初のおしとやかさを失うことなく、わがままも言わない……なにより翔さんの仕事が忙しくて会えない期間があっても文句ひとつ言わない音羽さんのことを、翔さんは生涯のパートナーとして考えるようになりました。
そして翔さんは音羽さんにプロポーズ。
これまでの2人の関係性から断られることはないと思っていましたが、なんと音羽さんは「私は両親が他界している上、兄が病気で長期入院中なので結婚は出来ない」という理由で結婚を断ったのです。
翔さんがどんなに「そんなことは問題ではない」と言っても「ごめんなさい。無理です」の一点張り。詳しく聞こうとしても何もいわない音羽さんに対し、翔さんは「どんな理由があっても構わない」と、半ば無理矢理音羽さんを自分の両親に紹介して、近く結婚を考えていると報告したのでした。
かわいい息子の結婚を応援したいから
小さい頃から翔さんの一番の理解者で、応援してくれていた両親は、この結婚報告を聞いて最初はとても喜んでくれていました。しかし、そんな両親の前でも音羽さんは「入院中の兄がいるので……」と結婚を躊躇している発言をして、両親を凍り付かせました。
音羽さんを送った後、翔さんは両親から「音羽さんの両親はなんで亡くなったの? お兄さんの病名や入院先の病院名は?」と聞かれましたが、何も聞かされていない翔さんは「そんなこと、音羽が言いたくなったらでいいじゃない? しつこく聞いたら結婚も破談になるかも」と言い、音羽さんと結婚することが目標になっているように見えました。
家のことを多く語らず、翔さんですら音羽さんのことをあまり知らないことに不信感を覚えた両親は、このまま翔さんの結婚をすんなり認めていいものか悩みました。
そして、考えに考えた結果、探偵に結婚前調査を依頼することに決めたのです。
結婚前調査の結果、音羽さんの兄は病気ではなく「服役中」であることが分かりました。刑期は10年。当時新聞記事になるほどの事件の犯人だということが分かりました。
さらに母親はその事件がきっかけで体を壊し、1年後に他界。その後を追うように父親も自殺をしていたことが分かり、音羽さんが翔さんとの結婚に前向きでなかった理由がやっと理解できました。
翔さんの両親はこの調査結果を見て悩みました。音羽さん自身には何も問題なく、周りからの評判も大変良いものでしたが、この事実と向き合わないまま息子の結婚を許すことは、将来生まれてくるかもしれない孫にも良くないと考えたからです。
音羽さんに非は全く無いものの、翔さんのことを思うとこの結婚には“親の立場として”反対せざるを得ない……これが翔さんの両親が出した答えでした。
これから、翔さんに
「結婚後に起こるかもしれないこと」
「もし結婚したら」
「もし結婚するのなら」
など、リスクをしっかり伝えながらこの事実を話すそうです。
翔さんの両親は「最終的にはあの子の決めたことを応援するしかありませんが、親として子どもを守るって難しいですね」と話していました。
これまで音羽さんが、辛い思いをしてきた分幸せになってほしいとは思いますが、翔さんがどんな判断をするのかは、翔さんにしか分かりません。それぞれが後悔ないように、幸せになってほしいですね。
(2020.03.02)