家を買いたがらない夫
利生さんは、自分のお店をたたんだ後、すぐに飲食店に就職しました。
給料は決して高くはありませんでしたが、利生さんは真面目に仕事に出かけていました。
史奈さんは、借金騒動で相談出来なかった「家を購入」する件について、
そろそろ話そうと、利生さんに相談。
すると、利生さんは顔色を変えて「まだ家なんていらなくない?」と、
家の購入に反対したのです。
史奈さんは「子どもが小学校に上がる迄には購入したいし、ローンを組むなら早いほうがいい」と、
利生さんを説得しましたが、利生さんは「無理だ」の一点張り。
話は平行線でらちが明かず、気まずい雰囲気のまま話を終える事になりました。
自分勝手に離婚を要求
次の日、利生さんは帰宅するなり史奈さんに離婚届けを渡してきました。
そして「実は、少し前から好きな人がいる。史奈は俺がいなくても大丈夫だと思うから、離婚したい」
と言ってきたのです。
あまりに突然の事に、史奈さんが言葉を無くし呆然としている中、
そのまま利生さんは荷物をまとめて家を出て行ってしまいました。
離婚届けを渡されてから数日間、史奈さんは自分を責め、
どうにかして再構築していく道はないか、ずっと考えていました。
利生さんに考え直してほしいとラインでメッセージを送っても
「史奈といると息苦しい」「何の仕事をしても史奈にはかなわない」など、
史奈さんを否定する返事ばかり……。
自分の事を否定する言葉と、これまでの利生さんの行動……
そんな事が頭をよぎり史奈さんは、突然何かが抜けたように
「子ども達の為にも、そんな人はもういらない」と考えが変わりました。
そして史奈さんは慰謝料請求をしようと考え、すぐに探偵に浮気調査を依頼。
利生さんは予想通り女性の家に転がり込んで生活をしていました。
その不倫相手は利生さんが経営していた飲食店の常連さんで、
派遣切りに会い、カードの支払いが大変だとよく相談に来ていた女性でした。
その女性は、史奈さんに会う度に
「史奈さんは、仕事も家庭も全て手に入れていて羨ましい」と
言っていたそうです。
史奈さんは「利生さんの借金は、あの女と遊ぶ為だったんですね。
徹底的にやって離婚します」と宣言。
これから、この証拠を盾に弁護士に相談し、養育費と慰謝料をしっかりと取っていくつもりだと
言っていました。
そして、これからはかわいい子ども達の為に会社を守って生きて行くと言っていました。
借金や不倫をするような夫と別れる事に関しては一切の未練もないそうです。
利生さんは全てを失ってから、
自分がいかに、史奈さんに助けられていたのかという事に気付くのかもしれません。
目の前の幸せに気が付かず、自らそれを手放してしまった利生さん、もう戻ることは出来ません。
失ってから気付いても遅いですよね。
(2019.01.28)