来る予定のない宅配業者が持ってきたものとは?
みのりさんは、「はい、今出ます」と玄関を開け、荷物を受け取りました。
その荷物の差出人は、夫・寿さんからでした。
しかし、その字が寿さんの字ではないことに嫌な予感を覚え、
品名を見ると、そこには「本当の家族との思い出の品 パパより」と書いてあったのです。
頭が真っ白になると同時に、みのりさんが無心でその荷物を開けると、
中には名入れがされているロンパースとスタイのセット、ベビー用の真新しいおもちゃが入っていたのです。
みのりさんは、そこで初めて寿さんが浮気をしていたことに気が付き、
離婚の原因がそこにあることを知りました。しかも子どもまでいたなんて……。
どうしたらいいのか分からず、その荷物はそのまま放置・・・
みのりさんは、信じたくない気持ちを抱えて過ごしていました。
そして、何も知らない娘が帰って来たのは荷物が届いてから3日後のこと。
娘に背中を押されて
ふさぎ込み痩せてしまったみのりさんと、その荷物を見て娘はすぐに事態を察知しました。
そして「なにこれ、最悪!うすうす怪しいとは思ってたけど」と、怒りをあらわに。
娘に「パパの好きになんてさせる必要ないよ。ママが落ち込んたら負けだよ!」と、
それから頻繁に顔を出し、家の片づけや食事の用意をしてくれるようになったのです。
みのりさんは娘と話し、励ましてもらっているうちに
徐々に「このままでは前に進めない。娘のためにも、これで終わらせられない」と考えるように。
そして自分なりに調べた結果、真実を知るために探偵に浮気調査を依頼することにしました。
調査の結果、寿さんは会社から近い場所で一人暮らしをしていて、
そこには頻繁に特定の女性が出入りしていました。
しかし、その女性に子どもがいる様子はなく……。
聞き込みから、女性は半年前くらいに妊娠が発覚し、
つわりがひどく勤め先を辞めていたことが分かりました。
みのりさんは、その女性が寿さんとの不倫の末妊娠をして、
それをネタにみのりさんとの離婚をせかしたに違いないと予想しました。
そしてあの宅配便は、離婚しないみのりさんへの嫌がらせではないかと考えたのです。
みのりさんは報告書を見て、
「私は、このまま離婚はしません。この女性には慰謝料を請求します」と言っていました。
そして「これから、離婚不受理届を出しに行きます」とも。
不倫相手に嫌がらせをされ、一時は落ち込みふさぎ込んでいたみのりさんでしたが、
娘のお陰で立ち上がることが出来ました。
これからが勝負のときです。この報告書を武器に夫と不倫相手と戦って、
幸せをつかんで欲しいですね。
(2019.04.12)