すでに愛人は亡くなっていた。気持ちの整理のためのお墓探し…
入院先を訪れた龍之介さんは、そこで、マサコさんがすでに亡くなっていたことを
告げられました。
しかも、看護師さんの話によると、マサコさんには夫がいたとのこと。
龍之介さんは、マサコさんが生涯1人だったわけではなかったことに安心した反面、
自分には何も知らずにずっと「お手当」を払い続け、
こっそりと結婚していたことに複雑な思いを抱きました。
マサコさんが入院中にお見舞いに行けなかったことと、
結婚の真実をマサコさんから教えてもらえなかったこのもやもやとした気持ちを抱いていた龍之介さんは、
せめてお墓参りをして自分のなかで決着をつけようと、
探偵にマサコさんのお墓探しを依頼しました。
墓前での再会、そして残された謎
マサコさんは、彼女の生家である高橋家の墓に眠っていることが分かりました。
苗字は変わっていなかったので、夫が婿入りしたのか、
もしくは内縁の夫だったのかもしれません。
マサコさんのお墓を訪れると、龍之介さんは、
その墓前に添えられた「黄色い菊の花」に気づきました。
そして、ただ一言「そうか…」とだけつぶやき、無言で線香を手向け、そのまま墓前を去りました。
その時の龍之介さんは、まさに何かを悟ったかのような表情でした。
その後、龍之介さんがマサコさんについて語ることは一生涯ありませんでした。
長年の愛人関係を、マサコさんは亡くなるまで自ら解消することはありませんでした。
マサコさんが本当に結婚していたのか、どのような気持ちで愛人を続けていたのか、
なぜ最期まで愛人を続けていたのか、謎は残されたまま。
ですが、真実はどうであれ、マサコさんの人生が幸せであったと思いたいですね。
(2018.04.26)