できない理由ばかりを並べる彼
以前、帰化の時期について質問をしたとき、彰浩さんが「デリケートな問題だから、急がせないでくれ」
と珍しく声を荒げて怒ったので、2人の間でこの質問は何となくタブーとなっていました。
しかし、いつまでたっても話が進まないので
しほりさんが勇気を出して「いつ頃、帰化できるの?」と彰浩さんに聞いてみると、彰浩さんは
「父に報告をしないといけない。でも韓国に行くタイミングがなかなかなくて言えていない。
まだもう少し先かな」と答えました。
(年齢的にも早く結婚をしたいし子どもも欲しい、私とのことはどう考えているんだろう)
しほりさんは、のどまで言葉が出かかりましたが、これ以上この話をして、
彰浩さんがまた怒り出すと嫌だったので、「早く韓国に行けるといいね」と、
そこで話を終わりにしました。
彼の疑惑が明らかに
そして、何も変わらぬまま3か月が過ぎました。
いつものように彰浩さんは泊まりに来ていましたが、その日は来たときから「調子が悪い」と言っていました。
そして時間が経つにつれて高熱になり、インフルエンザのような症状に。
次の日、しほりさんは彰浩さんを近所の救急病院に連れて行きました。
高熱で朦朧としている彰浩さんに代わり、しほりさんが問診票を書こうとしたとき、
保険証に記載されている住所がしほりさんの聞かされている住所ではないことに気が付きました。
しほりさんはとっさにその住所を暗記。彰浩さんが診察中に、自分の携帯にその住所をメモしました。
帰化のこと、住所のこと……
言っていることに矛盾が多いことに不信感を覚え始めていたしほりさんは、
彰浩さんの保険証に記載されていた住所に行ってみることに。
すると、そこには家族で住むような大きな一軒家が建っており、
駐車場には子ども乗せのついた自転車と子供用の自転車がとめてありました。
玄関先には子どもが学校から持って帰ってきたと思われる名札のついた鉢が置いてあり、
そして、表札にはなんと、彰浩さんの名字が書いてあったのです。
結婚調査で真実をあきらかに
しほりさんは頭が真っ白になり、自分が何を見たのか理解するのに苦しみました。
確かにこの2年間の付き合いの中で、彰浩さんの家族を紹介されたことや、家に行ったことは
一度もありまんでしたが、それは事情的に仕方がないことだと思っていました。
もし彰浩さんが自分に嘘をついていたのだとしたら……。
しほりさんは、ご飯も喉を通らないほどに悩みましたが、彰浩さんに直接聞くのはどうしても怖い。
それでも真実を知りたいと思ったしほりさんは、探偵に彰浩さんとの結婚調査を依頼しました。
調査の結果、しほりさんが行った住所の家に彰浩さんは、家族と住んでいました。
正確に言うと籍は入れていないようですが、一度別れた妻とよりを戻し、
事実婚のような形で、以前住んでいた家に戻って暮らしていたとのことでした。
そして周りの人の話から、もうすぐ正式に籍を入れることになっていることも分かりました。
しほりさんは、状況を理解することが出来ず、しばらくはひどいショック状態に陥っていたそうですが、
両親や友人の勧めで、弁護士に相談……彰浩さんに慰謝料を請求することになったそうです。
いくら慰謝料を請求できても、しほりさんが受けた心の傷は計り知れません。
結婚をちらつかせ、嘘をつき続けてきた彰浩さんにはそれ相応の罰を受けてほしいですね。
(2018.05.23)