晩酌で深酒をして愚痴っぽくなった夫
東京郊外の新居から会社までの通勤時間はおよそ1時間半。
竜一さんは、家族のために頑張ると言い毎日遠距離通勤をしていましたが、
今までのように仕事仲間と飲むことが出来なくなり、
美佳さんは、それが竜一さんの仕事上のコミュニケーションに影響してしまわないかと心配していました。
仕事終わりに仲間と飲みに行っても、一人だけ早く切り上げて帰宅しなければならない竜一さんは、
以前はめったにしなかった晩酌を日常的にするようになり、
通勤の大変さなどを美佳さんに愚痴るようになりました。
最初の3か月くらいは、黙って愚痴を聞いていた美佳さんですが、
終電間際に帰って来た竜一さんの晩酌に付き合うのが徐々に苦痛に……。
ある日、「そんな文句ばっかり言ってても、仕方ないじゃん。
もっと前向きに頑張ってよー。こっちも子育てで疲れてるし」と、
軽く反論したところ、竜一さんの態度が急変。
「お前は俺をバカにしてるのか?
だいたいお前が郊外に家が欲しいと言ったから、こんな大変な思いをしているんだ!」
と、テーブルに置いてあった瓶を美佳さんめがけて力いっぱい投げつけてきました。
幸い瓶は顔ではなく、かばった腕に当たったため、
見えないところにあざが出来た程度ですみました。
ごめんねと心から謝る姿に……
次の日「昨日、喧嘩しちゃったよね?ごめんね」と言う竜一さんに、
美佳さんが昨日の状況を話し、あざを見せると、
竜一さんは「覚えてないんだ。本当にごめん」と平謝り。
美佳さんも(ストレスがたまっていたのかな)と、
「もういいよ。大変なのに、こっちもごめんね」と謝りました。
しかし、その日をきっかけに、竜一さんはお酒を飲むと、
美佳さんに対し、些細なことや言動に文句を言っては物を投げつけるように。
さらに美佳さんが何か意見を言おうものなら
容赦なく暴力を振るうようになりました。
そして竜一さんは決まって次の日には大反省をして謝り、
いつも以上に美佳さんに優しくしてくれました。
美佳さんは(お酒さえ飲まなければ)と、
徐々に竜一さんのお酒の量におびえるようになっていきました。
しかし、専業主婦で金銭力もなく
子どもには暴力を振るうどころかいい父親でいてくれる
竜一さんに離婚したいなど、言い出すこともできませんでした。
ある日、竜一さんが酔って暴れて
ソファーで寝てしまっていた時の事、
竜一さんのスマホに電話がかかってきたので、ふと画面を見ると女性の名前が・・・。
電話が切れたその直後、
「家にもうついてるよね?」
「どうして連絡くれないのかな?」
「もっとずっと一緒にいたかったよ」
とその女性からラインが連投されてきたのです。
しかもその女性は美佳さんも知っている会社の後輩……。
美佳さんは竜一さんが会社の後輩と不倫をしているとすぐに察しました。
もう我慢したくない
今までは子どものためにと酔った時のDVを我慢してきましたが、
それを見て、我慢の糸がついに切れて離婚を決意。
証拠をとり、弁護士に間に入ってもらって話を進めたい。
もう、DVもうけたくない。と……探偵に浮気調査を依頼しました。
調査の結果、竜一さんの浮気の証拠はすぐにとれました。
しかも、相手の女性とは家を買う前から付き合っていたことが分かりました。
美佳さんは、自分でもボイスレコーダーや隠しカメラを用意して
全てを弁護士に提出して、有利に離婚が勧められるように準備をしました。
美佳さんは、不倫のこともDVのことも竜一さんの勤める会社に話し、
さらにDVについては警察にも報告。竜一さんには接近禁止命令が下りました。
「癒しキャラ」の人がまさかのDV夫……。これは珍しい話ではありません。
DVは、エスカレートすることはあっても、なくなることはめったにないので絶対に我慢してはいけません。
弁護士や身近な相談窓口に相談しましょう。
美佳さんは泣き寝入りせず、勇気を持って立ち向かったことでDV夫から逃れることが出来ました。
一人で悩まないでまずは誰かに相談しましょう。
そして美佳さんのようにDVから救われる人が1人でも増えることを願います。
(2018.09.26)