里帰り期間を短縮
出産は比較的安産で、産後の肥立ちも順調でした。
実家には3か月程の滞在予定でいましたが、
隆紀さんが「僕も家事と育児に協力するし、そんなに長いこと里帰りすることないよ。
早く、戻ってきてほしい」と、毎日言ってくるように。
初めての育児で不安もあり、母親の助けがほしかったのですが、あまりにもしつこい隆紀さんに根負けし、
両親は「せめて1か月検診まではいたらいいのに」と言ってくれましたが、その言葉を振り切って、
産後2週間で家に帰ることにしました。
実際家に帰ってから、隆紀さんはよく手伝ってくれてはいましたが、
現実には育休を取ることが出来なかった為、
玲子さんの負担は実家にいるときよりもはるかに大きいものでした。
ある日の朝、子どもの泣く声が大きくて、隆紀さんが「行ってきます」と言った言葉がきこえず、
そのまま子どものおむつを替えていると、
隆紀さんが無表情のまま玲子さんの元へやってきて、
「行ってらっしゃいも言えないのかよ。この馬鹿が!」と、玲子さんの頭を思い切りたたき、
そのまま出かけていきました。
そしてこの事がきっかけになって、隆紀さんのDVが始まったのです。
とにかく隆紀さんを優先にしないと、殴る蹴る、暴言をあびせる……。
玲子さんがどんなに「やめて!」と必死に訴えても、DVが収まることはなく、
さらにエスカレートしていきました。
表向きは優しい夫ですが、そのうち子供にも手を上げるのではないかという不安もあり、
玲子さんは恐怖と苦痛の毎日でした。
近所の人が通報
ある日、些細なことがきっかけで、又隆紀さんに暴力を振るわれていたところを、
近所の人の通報で、警察が駆けつけてくれました。
玲子さんと子どもはDVシェルターに一時保護されることになりました。
DVシェルターはあくまで一時的な滞在なので一定期間を過ぎたら出て行かなければなりません。
実家に帰ることも考えましたが、隆紀さんからの身の危険を感じていたので、
実家に居場所は知らせず賃貸アパートを借りることに。
玲子さんは弁護士を通じて、DVの慰謝料とその後の養育費の取り決めをして、
離婚を要求することにしました。
ところが、最初のうちは隆紀さんと連絡が取れていたものが、しばらくすると取れない状況に。
家にも帰っていないようでした。
さらに弁護士が会社に問い合わせたところ、会社も辞めていて、
実家にも一切連絡はきていないとのことでした。
このままでは離婚もできず、お金のこともうやむやにされてしまう……
玲子さんは弁護士に紹介された探偵で、人探しをしてもらうことにしました。
調査の結果、隆紀さんは玲子さんの実家の近くにアパートを借りて暮らしていたことが分かりました。
おそらく隆紀さんは、玲子さんは実家を頼って生活しているだろうと考えて、
その近くにアパートを借りて様子を伺っていたのではないか、との事。
それを聞いた玲子さんはぞっとしたと言います。
さらには仕事をしないで、2人で貯めていた貯金を切り崩して生活をしているようでした。
これから玲子さんは、離婚と保護命令の申し立てを同時に進めていくと言っていました。
そして慰謝料や養育費の話し合いにもなりますが、
玲子さんはもう二度と隆紀さんと顔を合わせたくないので、
全て弁護士を通して決めていくそうです。
これからの人生、シングルマザーで大変なこともあるかもしれませんが、
DVから解放され、子どもと平和な生活を送ってほしいですね。
(2018.11.06)