そして、犯人のわからない嫌がらせがはじまり……
次の日朝起きると、俊樹さんの家の敷地内に止めてある自転車のかごに、
ペットボトルや菓子パンのごみが入っていたことを妻から聞かされました。
俊樹さんは、「この近所にも、マナーの悪い奴がいるんだな」と、腹を立てましたが、
この時はそれ以上の追及はせずに終わりました。
しかしその日の夕飯時、家のチャイムが鳴り妻が玄関に行くと、外には誰もいませんでした。
俊樹さんはそれを聞き、一瞬不審に思いましたが「どうせ子どものいたずらだろう」と、
大して気にも留めませんでした。
しかし、その日以来、ピンポンダッシュや車庫のシャッターをわざと音が鳴るように揺らす、
自転車のかごや家の前にゴミをまき散らかされる事が連日続くように。
俊樹さんは、先日注意をした中学生のグループを目撃したので、
彼らが犯人に間違いはなさそうでしたが、捕まえることが出来ませんでした。
決定的な証拠がないと注意できない
警察に相談しても「決定的証拠もなく、犯人の名前もわからないのでは……」と
根本的にはなにも解決にはならず、
「防犯カメラをつけてみたらどうでしょうか」などのアドバイスはくれましたが、
実際は見回りの強化のみで、犯人捜しを手伝ってはくれませんでした。
それからも、ランダムな時間に手を変え品を変え、
俊樹さんの家への執拗な悪戯は続きました。
妻も精神的に参ってきて、俊樹さん自身もイライラが頂点に達していました。
そんな時、知人から「嫌がらせの証拠を押さえるために探偵に頼んで解決した知り合いがいる」という話を
聞きました。
俊樹さんは、すぐに探偵に相談し、嫌がらせ調査を依頼することにしました。
調査を開始した日、いつもの通りに中学生のグループが俊樹さんの家の前にやってきて、
家の周りの様子をうかがうと、家の前にゴミをまき散らし始めました。
中には自分の噛んでいたガムを吐き捨てる子も……。
3日間毎日、家にやってきては嫌がらせをするその様子を、
しっかり証拠として押さえることが出来、
誰がリーダー的存在なのかも把握することができました。
さらに、それぞれの子どもの家と学校も判明しました。
俊樹さんは、その報告書を持って再度警察に行き、
学校と保護者にも報告をして謝罪してもらったそうです。
それ以来、嫌がらせはピタリとなくなり、子どもたちは、
「自分たちの邪魔をされて腹が立ったから、仕返しをしてた。
途中から、反応が面白くなって、意味なくやってた」と言っていたそうです。
子どもの悪い素行を見たら、親でなくても大人が注意することは決して間違ったことではありません。
しかし、それが原因で逆恨みや仕返しをされるリスクを考えると、
「関わらない」選択をする人も少なくはないはずです。
しかし、大人も子どもも「人としての関わり合い」を大切にする、そんな世の中になるといいですね。
(2018.11.29)