一通の手紙から発覚した事
ある日、嘉代子さんと忠彦さんの住む家に、忠彦さんの国民年金の督促状が届きました。
忠彦さんは、社会保険に加入し厚生年金なので、今まで国民年金については話をした事が無く、
もちろん、督促が届く事もありませんでした。
その日、いつものように家に帰ってきた忠彦さんに、
年金の督促状を渡し、「厚生年金じゃなくなったの?」と責めないように聞いてみました。
しかし、忠彦さんは「え?ちょっと、転職考えてて」と、はっきりした事を言わず言葉を濁すばかり……
しびれを切らした嘉代子さんが「ちゃんと質問に答えて!」と問い詰めると
正社員で働いていたタクシー会社を辞めていた事を告白しました。
今の仕事を聞いてもはっきりとは答えず、しまいには「金ならちゃんと入れるから、ちょっと黙っててよ!」
と、吐き捨てそのままバイクに乗って家を出て行ってしまいました。
嘉代子さんは、お金の心配をしていた訳ではなく、
仕事を辞めた事を黙っていて、話してくれなかった事について
「なんでも言って欲しい」と伝えたかったのです。
しかし、それがうまく伝わらず忠彦さんは、「責められた」と感じ家を飛び出してしまったのです。
家を飛び出した本当の理由とは?
嘉代子さんはその日、忠彦さんを無理に探さなくても、
放っておけばそのうち帰って来ると思って、食事の用意をして待っていました。
しかし、朝になっても忠彦さんは帰ってこず、その翌日もさらに翌日も
音信不通のまま、家に帰ってこない日が続きました。
お金も仕事も無く、自暴自棄になっているのではないか、何処で、何をしているか分からない・・・
この状況を危惧した嘉代子さんは警察に届け出をして、その足で探偵会社へ
人探し調査を依頼しに行きました。
調査の結果、忠彦さんはスーパー銭湯やサウナで仮眠を取る事を繰り返し、少しずつ移動していました。
その足取りを追い、隣県のサウナで忠彦さんを発見し、
お店から出てくる所を嘉代子さんが迎えに行きました。
忠彦さんは、月々の支払いに追われ、実際は相当お金に困っていたのでした。
そんな中、嘉代子さんとの将来について考えると不安になり、
全てを捨てて、一人でやり直したいと思ったそうです。
嘉代子さんは、そんな忠彦さんを優しく諭し、家に連れて帰る事に。
将来の事も含めて、これから二人で話していきたいと言っていました。
嘉代子さんは、忠彦さんとは別れるつもりはないそうです。
仕事やお金の事、もっと向き合って話して、お互いを支え合える夫婦になりたいと言っていました。
忠彦さんは、これから嘉代子さんに隠し事せず何でも話し、新しい職に就き、
生活を立て直していけるといいですね。
(2019.02.26)