スターモデルになりタワマン住まいを約束

雄太さんの話だと、優里さんは雄太さんが今まで見た中でも類を見ない逸材だとのこと。
雄太さん自身もモデル事務所で働いていたことがあるので、
間違いないとのことでした。
優里さんの所属が決まれば、会社の寮として六本木のタワーマンションに
住ませてくれるとの話もしてくれました。

優里さんは突然舞い降りた夢のような話を信じることはできませんでしたが、
このままフリーターでいるならば自分の可能性にかけてみたいとも思い始めていました。
母に相談しても「そんないい話は怪しすぎる。もっと現実を見て就職活動をしなさい」
と真剣には取り合ってくれず、その間も雄太さんは「もっと自信をもって」「僕を信じて」と
優里さんを毎日ラインで説得し続けていました。

雄太さんは、芸能人の集まる飲食店を都内に3店舗経営しているそうで、
打ち合わせ時に連れて行ってくれる店も素敵なお店ばかりでした。

「モデルになったら、スターになれる」
「みんながあこがれるようなタワーマンションに住める」
「雑誌の表紙を飾れる」・・・。
優里さんはだんだんとその気になっていましたが、一つだけ引っかかっていることがありました。
それは「宣材写真などの初期費用で100万円が必要」ということ。
売れればすぐに取りもどせるので初期投資だと思えば安いものだと言われてはいましたが、
フリーターの優里さんに100万円もの貯金はなく、モデルになるためには親にお金を借りるしか
方法はありませんでした。

モデル事務所の真相は？

優里さんが自分の気持ちが「モデルとしてやっていく」と決まったことを親に相談すると、親は激怒。
「そんな話を信じるのはバカだ！」と、雄太さんを全く信じる様子はありませんでした。

そして優里さんの気持ちを無視して、両親は探偵に雄太さんやそのモデル事務所に関しての
調査を依頼していました。
その結果、雄太さんが紹介してくれたモデル事務所は存在しましたが、
実際に動いているのは、その関連会社のセクシー女優が多く在籍する事務所のようでした。
実際に同じように誘われて100万円払った「モデル志望」の女性も、
チャンスを広くつかむためにとグラビアやセクシービデオに出る、といったスタイルをとっているようでした。

その結果を両親に見せられて優里さんは何も言えませんでした。
雄太さんにそのことを遠回しに聞いてみても
「売り出し方はいろいろある」と否定も肯定もせず、話を濁す感じでした。
しまいには「一度やると言った話だろう！こっちはもう事務所に通してある！」
と契約を断らせないような言い方をされてしまいました。

優里さんは急に怖くなり、両親に相談をし、
念のため警察に届けを出しました。
雄太さんに断りのラインを入れたところ、はじめは「夢をあきらめないで」など
優しく諭されていましたが、
だんだん「口頭でも契約は成立していたのに」「大人をバカにするな」
など怒りのラインに豹変・・・。
恐ろしくなった優里さんは雄太さんと出会った場所であるバイト先を辞めることにしました。

うまい話に騙されそうになり、長年勤めてきたバイトもやめることになってしまった
優里さんですが、
これをきっかけに、しっかり地に足をつけて仕事を探していきたいと言っていました。

うますぎる話を頭から信じる前にきちんと相手のことを調べるのは、
自分の身を守るためにも大切なことですね。

(2018.04.06)