自分がダメなのは親の責任?
詩織さん夫婦は、誠治さんにこの先のことを幾度となく話をしてきましたが、
誠治さんは両親の「予備校の見学に言ったらどうか」という提案にも耳を貸さず、
「受験に失敗したのは親が無能なせいだ」と決めつけ、
ご飯の時以外は部屋から出てこなくなっていました。
一方で、オンラインゲームのオフ会に行く時だけは外出。
そのたびに詩織さんにお金を無心してきました。
詩織さんは、このまま部屋から出なくなって引きこもりになるくらいなら……。と、
小言は言えど言われるがままにお金を渡していましたが、
ある日、夫の前で誠治さんは詩織さんにお金を無心してきたので、
「勉強も働きもしないのに、金なんて渡すな!」
と夫が怒り、気が付けば誠治さんと夫はひどい言い争いになっていました。
誠治さんは詩織さんに、「バイトしてすぐ返すから、とりあえず貸してよ。
約束があるんだから」と必死に訴えてきましたが、
夫の手前もあり「今日は我慢して家にいたら?」と優しく諭し、お金を渡すことはしませんでした。
そして売り言葉に買い言葉
優しく諭したにもかかわらず誠治さんは引かず、夫と誠治さんの言い争いはエスカレート
「未成年なんだから、保護者が金を出すのは普通の事だろ?」
と、言う誠治さんに対し、夫が
「言うことばっかりいっちょ前で、働きもしないやつは、出ていけ!」
誠治さんは、
「わかったよ!出ていけばいいんだろ!」
と部屋に戻り、荷物をまとめてそのまま家を飛び出してしまいました。
すぐに後を追おうとした詩織さんに夫は、「追わなくていい」と言い、
そのまま夫は部屋に入ってしまいました。
その日、詩織さんは一睡もせずに誠治さんの帰りを待ちましたが、
連絡を入れてもラインは未読。誠治さんは帰って来ませんでした。
次の日も夜まで帰りを待ちましたが、
音信不通のまま・・・。詩織さんは夫と相談して警察に連絡することに。
そのあと詩織さんは夫に反対されると思い、内緒で探偵に家出調査を依頼しました。
誠治さんは、家族カードをもって出て行っていたので、
繁華街のATMで何回かに分けてお金をキャッシングしていたことがわかりました。
その履歴からある程度の居場所を特定。
サウナ付きのカプセルホテルに宿泊していることが分かりました。
詩織さんは誠治さんを迎えに行き、家に連れて帰ってきたそうです。
詩織さんは専門家にも相談して、誠治さんの今後について考えていきたいと言っていました。
それぞれの家族には、いろんな事情があるでしょう。
どんな時も見捨てず、助けてくれるのが家族。
誠治さんにはそんな家族がいてくる事に気づいて
少しでも前進してほしいですね。
(2018.07.06)