これからのことをしっかりと考えている息子が音信不通に

卒業後も都内の会社で働くと決めた俊祐さんの将来の構想を聞いた恵子さんは、安心しました。
俊祐さんとは相変わらず近況報告や、
実家の犬の話などを頻繁にラインでやり取りしていました。
しかし、ある日の朝を境に俊祐さんと連絡が取れなくなってしまったのです。
ラインも未読、電話もつながらない状況、
もしかしたら、携帯電話を落としてしまったのかもしれない……。
そう思い、俊祐さんからの連絡を待ち続けること２日・・・。
しかし、3日目になっても俊祐さんからの連絡はありませんでした。
さらに、俊祐さんの大学の友人から「俊祐、帰ってますか？」と家の電話に連絡があり、
話を聞くと、その友人も恵子さんと同じ頃から連絡が取れなくなっていて、
俊祐さんは大学にも顔を出していないので、心配になり実家に電話をしてきたとのことでした。

忽然と消えた息子はどこへ？

心配した恵子さん夫婦は、その日のうちに俊祐さんの住むマンションに様子を見に行きました。
しかし、部屋の中は乱れた様子もなく、荷物を持ち出したような形跡もありませんでした。
すぐに警察に届けを出しに行き、何かある前に探さなければと
その足で探偵に人探し調査を依頼することにしました。

調査の結果、俊祐さんの部屋から、治験モニターの契約書が発見されました。
契約書を確認すると、治験モニター開始日がちょうど音信不通になった日と重なっていました。
ただ、一つ気になるのが、治験中でもスマホは使えるはずなのに
どうして音信不通になったのか、ということ……。
その契約書に書いてあった予定通り、それから5日後に俊祐さんは帰宅しました。
その時、家の前に両親がいるの見て大変驚いていたそうです。

どうやら俊祐さんは、周りに治験のモニターをすると言ったら反対されると思い、
誰にも言わず秘密にしていたとのことでした。
さらに、その治験期間中は卒論に集中する為、
スマホの電源を切り、荷物の中に入れっぱなしにしていたとのことでした。
大学は数日休んでも、単位は十分に足りているので問題なかったとのこと。
友人に心配かけたことについては「こんな大事になるとは思ってなかった」と謝っていました。

ひとまず無事に帰って来た事で、両親は胸をなでおろしたことでしょう。
家族と突然連絡が取れなくなったら心配するのは当たり前のこと。
言いづらかったから……と本人は言っていましたが、
心配させないためにも家族にはきちんと報告しなければばりませんよね。
これからも頻繁に連絡を取り合う、仲のいい親子であって欲しいですね。

(2018.11.01)