嫁は誰かの愛人？

もともと道子さんは、遥さんとの結婚には反対でした。
その理由は、遥さんが結婚前に住んでいたマンションが、都内の一等地のタワーマンションだったこと。
遥さん曰く、「知人が長期間の旅行に行っているので、その間だけ安く借りている」と言い、
和範さんもそれに納得していましたが、
道子さんは「そんなはずがない」と、遥さんは「誰かの愛人」なのではないかと、ずっと疑っていました。
大手企業の派遣社員とは言え、あまりにも羽振りが良すぎると、
道子さんはずっと納得のいかない気持ちでいたのです。

和範さんは、交際当時から仕事が忙しく、
結婚後も夫婦で過ごす時間がなかなか持てないことに後ろめたさを感じていたので、
遥さんが文句ひとつ言わずに、自分の時間を楽しんでくれていることに、
むしろ感謝をしていました。なので、道子さんが何かネガティブな発言をするたびに
「俺は遥に感謝しているよ」と、なだめて納得させていました。

そして、別居を申し出られて

ある日、和範さんから「しばらく実家に帰らせてほしい」と道子さんに連絡があり、
何があったのか理由を聞いてみると、理由も忘れるほど些細なことから大喧嘩になり、
どちらも一歩も引かず「じゃあ、出ていく」と言ってしまったというのです。
和範さんは「しばらく実家に帰って、冷却期間をおいてからちゃんと謝るから」と言っていましたが、
道子さんは（やっぱりあの子は、怪しい）と今まで以上に強く思うように。
（愛人に和範のことがばれたのか、それとも愛人の事が忘れられないからか、
どちらにせよ、わざと別居に持って行ったに違いない！）と確信した道子さんは、
和範さんには言わずに、遥さんの素行調査を探偵に依頼しました。

調査の結果、遥さんが愛人らしき人物と会っている様子はありませんでした。
しかし、遥さんの金回りの良さが分かる本当の理由が発覚しました。
遥さんは、週に2回～3回、銀座のクラブでバイトをしていたのです。
道子さんはその報告書を見て「やっぱり！こんなことだろうと思ってたわ！！」と激怒していました。
そして、その結果を、すぐに和範さんに伝えたそうです。

しかし、和範さんはその報告書を見て
「全部知っているよ。お母さんには言わないほうがいいと思って黙ってたけど、
僕も承知の上でのバイトなんだ」と……。
和範さんは、2年以内に独立をすることが目標で、
独立したら遥さんは派遣社員を辞めてパートをしながら
妊活をする予定になっていると教えてくれました。
そして、クラブでのバイトも派手な生活も、遥さんの「遊び収め期間」なんだと……。

道子さんは、想像していた事と全く違う結果に驚いていましたが、
道子さんが思っていた以上に、ちゃんと夫婦で話し合って、
未来のことを決めていた事を知って、嬉しかったそうです。

第一印象が良くないと、誤解を受けてしまう事もありますが、
今回、想像した事とは真逆の結果でした。
これからは、息子夫婦を信じて、応援していって欲しいですね。

(2018.11.20)