親と絶縁状態……入籍の報告すらしていなかった親子が歩み寄るには? 家族のトラブル
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また疎遠になってしまった親子関係

その日、肇さんが戻って来ることはなく、旅行中に顔を出すことも連絡をよこすこともありませんでした。

大阪に帰ってから肇さんに電話をしましたが出てくれず・・・。
「旅行の段取りなど色々ありがとう。それから、嫌な思いをさせて悪かった」と
メッセージを送りましたが返事もなく、
正和さんは一方的に連絡を送り、そのメッセージが既読になることで
肇さんの生存を確認するようになっていました。

一方肇さんは、正和さんが北海道に来たあの日、学生時代のことを言われて
どうしてあんなに怒ってしまったのか、自分でも分かりませんでした。
しかし、どうにも抑えられない怒りと嫌悪感を感じたことは確かでした。
肇さんは、自分がまだ正和さんたちのことを受け入れていないことに気が付き、
「あんな態度をとってしまうくらいなら、もう会わないでいよう」と決意したのでした。

そして、そんなときに出会ったのが眞代さんでした。
眞代さんの母は再婚をしていて、肇さんと状況が似ていました。
眞代さんとお互いの話をすることで、肇さんは今まで誰にも言えなかった自分の気持ちを
眞代さんにだけは打ち明けることができました。
そして2人は「誰にも告げずに結婚する」ことを決意し、交際半年で入籍をしたのでした。
お互いの両親に挨拶をすることもなく、入籍の報告もしていませんでしたが、
眞代さんの妊娠中、切迫流産があったことで2人は眞代さんの母親と会うことに。
そこで初めて肇さんと眞代さんは入籍の報告をしたのでした。

子どもが産まれて、心境に変化が…

無事に子どもが産まれたことで、肇さんの心境にも変化が起きました。
父であり祖父になった正和さんに、このことを伝えたいと思うようになったのです。
あの日以来、連絡をしていなかった正和さんに連絡をするのは勇気のいることでしたが、
肇さんは自分の子どもを見てもらいたい一心で、正和さんへの連絡を決意したのでした。

正和さんは「おめでとう」と返信。
孫が生まれたことを喜ぶメッセージを送りましたが、一つだけ気になることがありました。
それは肇さんの結婚相手についてです。
孫についてはいろいろ返事をくれる肇さんでしたが、結婚相手のことになると、突然話をそらし、
なにも答えなくなるのです。
正和さんが分かっていることは「北海道が地元、彼女の親と会うのはむずかしい」ということだけ。
正和さんは、肇さんが幸せならいいとは思いつつも、
肇さんに親らしいことをしてやれなかったという想いから
「結婚生活は幸せに送ってほしい」と、肇さんの結婚相手についての結婚調査をすることを決意、
探偵に調査を依頼しました。

調査の結果、肇さんの結婚相手は、母が結婚と離婚を繰り返し、
何度も父親が変わった経験を持っていることが分かりました。
そして母が作った借金を肩代わりするためにキャバクラで働くなど、
若い時から苦労を重ねてきたことも分かりました。
夜の仕事をしているときでも、昼間もきちんと働き、堅実に今の生活を送ってきた肇さんの妻は、
まわりから評判の良い女性でした。
絶縁状態だった母親とは、子どもができたことで、
少しずつ母との距離も近づいていることも分かりました。

正和さんは、その報告書を見て何とも言えない気持ちになったそうです。
そして、「彼女となら、きっと幸せな家庭が築けますね」と安堵した様子で、
「これ以上は余計な詮索はせず、何かあったらサポートできるようにしていきたい」と
言っていました。

疎遠になっていても、親子であることには変わりません。
結婚は本人だけではなくその家族同士を結び付ける大切な契約です。
肇さんの家族全員が仲良く会える日は、近いかもしれませんね。

(2019.05.07)

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