推薦入試を辞退しての大学受験……その結果がまさかの惨敗のとき、親は子どもにどう接する? 家族のトラブル
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大学は一般入試をすることに

部活で活躍し、成績も優秀。素行も良い湊介さんは学校の先生から
「大学はスポーツ推薦で推したい」と言われていました。
最初は湊介さんも「スポーツ推薦で大学へ行く」予定でいましたが、
いろいろな大学のことを調べていくうちに、「スポーツ推薦ではなく、もっと上の大学へチャレンジしたい」
と思うようになったのです。
そして、スポーツ推薦を辞退して、自力で勝負することを決めました。
杏奈さんは心の中では(先生が勧めてくださるスポーツ推薦のほうがいいのでは?)と思っていましたが、
湊介さんの「こうしたい!」という気持ちを尊重し、
「湊ちゃんが、したいことを尊重する」と、大学受験へのチャレンジを応援することにしました。

そして、部活を引退した湊介さんは、受験勉強に没頭。第一志望の大学へ向けて、頑張る毎日が続きました。
努力の結果、全国模試ではA判定が付くようになり、センター試験も手ごたえがあり、
本人的に、「これならいけるかも!」と思えるほどの学力をアップさせていました。
そして試験当日、「余裕」とまではいきませんでしたが、大きなミスもなく、試験は終了。
他のすべり止めの大学も何校か受けて、あとは合格発表を待つばかりとなっていました。

予想外の大学受験

しかし、湊介さんの予想に反して、第一志望の大学に惨敗……
さらにはすべり止めの大学も全て落ちてしまったのです。
湊介さんは、すぐに後期日程で2次試験のある大学を選び再度受験をすることに。
次はレベルをかなり落とした大学も含めて受験をすることにしました。
そして、後期の合格発表……湊介さんは、「ここならいける」と思っていた大学の受験にも失敗……。

唯一受かった大学は「合格の勢いをつけるために」として受けた大学のみでした。
特別その大学に行きたいわけでもない湊介さんは、
「大学に行かずに、働く」ことも考えはじめ、杏奈さんに相談をしましたが、
「親の立場から言うと、せっかく受かった大学を卒業してから働いても遅くはないと思う」と……。
湊介さんの「高卒での就職」は、学校の先生からも「もう少し考えたほうがいい」と言われました。
推薦を断った時点で「浪人はなし」と言われていた湊介さんは、入学金の振り込み前夜、
杏奈さんに「明日、振り込んでくるね」と言われ、
いよいよ自分が「希望していない大学の生徒になるんだ」という虚無感に襲われました。

気持ちが伝えられず、突発的に家出

次の日、杏奈さんが起きると湊介さんの姿はありませんでした。
夫が深夜に帰宅した時には確かにあった湊介さんの靴が無くなっていて、
携帯やタブレットは置いたままで
部屋からは部活で使っていた大きなカバンと、着替えと財布がなくなっていました。
すぐに「家出だ」と感じた杏奈さんは、夫と警察に行き、現状を報告。
防犯カメラの確認などはしてくれましたが、携帯が置きっぱなしなことで
「早急に見つけるのは難しい状況」と言われたのです。 
そこで、一刻も早く見つけ出したいと探偵に家出調査を依頼する事にしました。

探偵が探してくれている間に、杏奈さんは大学への入金を済ませましたが、
「湊介が、そこまで思いつめていたなんて・・・、浪人するにしても、就職するにしても
ちゃんと話を聞いてあげればよかった」と後悔の念にかられ、
何かあったらと不安で押しつぶされそうになりながら、湊介さんの発見を待ちました。
そして、調査の結果、湊介さんは深夜バスの仮眠ができる待合所で寝ているところを発見されたのです。

杏奈さん夫婦が迎えに行くと、湊介さんは逃げる様子もなく、家に帰ることに従いました。
帰りの車の中では一言も発しなかったそうですが、
家に帰ってから「浪人して、もう一度頑張りたい」と泣きながら懇願してきたそうです。
杏奈さん夫婦は湊介さんのその願いを聞き入れることにするそうです。

入学金は無駄になってしまいましたが、
何より「湊介さんの命が無事だったこと」
そして「本当にしたいことのためだと思えばお金は惜しくはありません……」と
言っていました。
今まで挫折知らずの湊介さんですが、この経験を糧にして来年は目標を達成し、
両親の喜ぶ顔を見られるといいですね。

(2019.06.10)

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