あからさまな変化
フルタイムで働き始めた里美さんが、夜遅く帰ってくることが増えたとはいえ、
どんなに遅くなっても11時までには帰ってきていました。
里美さんと幸次さんは、退社時刻が近づくと、いつもどちらからともなく連絡を取り合い、
帰りの時間や今日の晩御飯について話していましたし、
どちらかが遅くなった日には帰る時間が見えた時点で連絡をするなど、
家庭内の「報・連・相」はしっかり行っていました。
しかし、3か月前くらいから、里美さんに変化が。
これまで無頓着に置いていたスマートフォンを肌身離さず持つようになり、
幸次さんが知っていたロック番号は変更され、さらにはラインにもロックをかけるように……。
夜もいつまでもリビングでスマホをいじっていることが増え、
里美さんは「ツムツムをしている」と言っていましたが、
どう見ても誰かとやり取りをしているようにしか見えませんでした。
さらには、朝にシャワーを浴びて出かけた日は100%「急な飲み会が入った」と連絡がくるのです。
事前に分かっている「飲み会」の日の前日はネイルサロンやまつエクサロンに行くなど、
明らかに里美さんの行動に変化が見られました。
もやもやと広がる疑いの気持ち
ある日、里美さんがにこにこ嬉しそうに携帯電話を見ていたので、
幸次さんが「なにがそんなに面白いの?」と、横から携帯電話を覗き込むと、
一瞬、画面が見えました。
里美さんがすぐに、携帯電話を隠したのと、
幸次さんの最近出始めた老眼のせいで内容や名前までは確認することができませんでしたが、
それがラインのトーク画面だったことは明らか。
里美さんは「人の携帯電話覗くとか、ありえない」とすぐにその場を立ち、
コンビニに行ってくると出かけてしまいました。
里美さんの浮気疑惑に関して決定的な証拠がつかめず、
幸次さんは悶々とした日々を過ごしていましたが、
はっきりさせたいと探偵に浮気調査を依頼することにしました。
調査の結果、里美さんは職場の男性とW不倫をしていることが分かりました。
誰にも秘密にしているようで、職場の人がいる飲み会の時は、
一度別々に電車に乗ってから再度落ち合うなど、計画的に行動をしていました。
幸次さんは、
「ある程度の覚悟はしていましたが、これはちょっと……」と、ショックを隠し切れない様子でした。
当初の相談では、夫婦関係を良くしていくために真実を知りたいとのことでしたが、
真実を知った今、これからどうするのかは、少し冷静になってからもう一度考えたいとのことでした。
里美さんの浅はかな行動の数々から発覚したW不倫。
しかも、同じ職場で計画的に動いているとは、悪質極まりないですね。
幸次さんが出した結論がどうであれ、里美さんはけじめをつける事になるでしょう。
本当は自らそれに気が付けたらいいのですが。
(2018.10.25)