家事をサボっているわけではないのに
明未さんはお義母さんからの「家事」に対するプレッシャーを常に感じていました。
「子どもが小さいのだからあなたは子どものお世話を、こっちは任せて」と言う割には、
友人との電話口で「嫁は子育てを理由に何もしないのよ~」と、わざと明未さんに聞こえるように話したり、
「私が若い頃は、子育ても家事も全部やったけどね~」と言ったり、
明らかに「子育てを理由に家事をサボっている」というような言葉で、
チクリチクリと明未さんを責め立てるのでした。
しかし、明未さんは家事を何もしていない訳ではありませんでした。
食事の支度はもちろん、後片付けから掃除、洗濯まで
共有の部分はほぼ明未さんが担当して家事をしていたのです。
それでも、お義母さんは「玄関、掃いておきましたから」「トイレ、汚れてたんで掃除しておきましたよ」など、
アラを見つけては明未さんに報告してくる等、
小さな意地悪をコツコツと積み重ねていくのです。
とうとう、明未さんは爆発! 幸寿さんに「もう耐えられない!どうにかして欲しい!」と
涙ながらに訴えました。
しかし、幸寿さんは「お前には、感謝と言う気持ちがないのかよ。わがままもいい加減にしろよ」と一喝。
その時に明未さんの心の中で何かが壊れる音が聞こえました。
(お義母さんも幸寿さんも大嫌い。子どもが大きくなったら絶対に離婚してやる)
明未さんはそう決めてから、お義母さんにも幸寿さんにも当たり障りなく接し、
家業の手伝いも「表向きは」一生懸命してきました。
お義母さんは相変わらずイヤミっぽく意地悪でしたが、だんだんと明未さんに「上から」モノを言う事が減り、
体調が悪い時などは明未さんを頼るようになりました。
明未さんはお義母さんに対して良い自分を見せる為、感情を押し殺し(介護が必要になる前に離婚してやる!)と、その時を待っていました。
有利に離婚ができる!
そして、遂にその時はやって来ます。
幸寿さんは家業の事業展開の為に、3カ月程前から月の半分は東京へ出掛けていました。
最初のうち土日には帰って来ていましたが、段々と日曜の夜や月曜の朝に帰って来るようになり、
その浮かれた様子や下着の変化から「浮気」をしている事は明らかでした。
明未さんは念の為、スマホをチェック。
東京に浮気相手がいて、出張中はその女と会っている証拠のメッセージを自分のスマホに保存しました。
そして、さらに確実な証拠を掴むために探偵に浮気調査を依頼したのです。
調査の結果やはり、幸寿さんは東京で浮気をしており、証拠もすぐに執る事が出来ました。
明未さんは、2人の顔が映った報告書を見て何度も「ありがとうございます」と感謝しました。
家を出る事も考え、直接幸寿さんと交渉をしたくなかったので、そのまま弁護士事務所に向かい、
「会わずに離婚をする」為の準備と方法をどうするか、相談すると言っていました。
ずっと明未さんの苦労を近くで見てきた子ども達は、この話を聞いて
「お母さんの味方をする」と言ってくれたそうです。
それを聞き明未さんは、ずっと貯めていたへそくりを使い、子どもと一緒に家を出ることを決意。
そして弁護士を代理人とし、離婚・慰謝料・養育費を要求したのです。
もちろん離婚の理由は「夫の不貞」。
明未さんは確実に離婚をするための方法をずっと模索していました。
この幸寿さんの不貞は明未さんにとって、「願ってもない」事だったのです。
幸寿さんは、明未さんが持つ「不貞の証拠」によって、離婚は免れない状況になるでしょう。
そして、今まで「家業の為」「家族の為」に働いてくれていた明未さんと、
可愛い孫たちは二世帯のその家から居なくなってしまいました。
幸寿さんとお義母さんがもっと明未さんを大切にしていれば、状況は変わっていたのかもしれません。
随分と我慢をしてきた明未さん。これからはストレスのない自由な人生を送って欲しいですね。
(2019.03.18)