イライラする相手に無視や八つ当たりすることは何の解決策にもなりませんよね。

引くに引けなくなった妻と、歩み寄ることをあきらめた夫。
2人の今後はどうなっていくでしょうか？

１０年間妻に無視をされつづけた夫が選んだ道……夫婦関係は修復できるのか

夫：光司（40歳）
妻：凛（44歳）
子供：小学校低学年２人
結婚：10年目

今回、お話をしてくれたのは妻の凜さん。2人目の子どもが生まれてから光司さんの事を生理的に受け付けなくなり、強く当たるようになってしまったそうです。
産後の体と生活の変化が原因で夫との関係が激変してしまった。
という方は多くいらっしゃるようですが……。

凛さん：私たちは、友達からも羨ましがられるほどの仲良し夫婦でした。でも、2人目が生まれてから夫の行動がいちいち癇に障るようになって……今思えば、育児に疲れていたせいもあるかもしれません……。

夫婦生活はもちろん拒否。「一緒に寝るなんてありえない！」と寝室も別にして夫のことは空気のように、まるで居ないかのように扱っていました。夫が歩み寄ろうとしてくれているのは分かっていたけれど、私は一切受け入れませんでした。

夫は子どもたちを可愛がっていましたし、こんな態度の私をねぎらうことを忘れずに、休みの日は家族と過ごしてくれていました。父親として、夫として出来る事を精一杯してくれていたと思います。でも、それはそれでムカついてしまう……夫のそんな姿を見れば見るほど私はさらにイラついて話をするもの嫌でした。

そして、ついに私は普段は完全に無視を決め込み、少しでも気に障ることがあった時は怒鳴って物を投げつけるなどの八つ当たりをするようになっていました。

いつの間にか、ひどい態度が日常に

こんなひどい態度をし続ける私に、夫は根気よく、本当に根気よく話しかけてくれました。
それなのに私は態度を変えず完全無視。その結果、夫から話しかけてくることが徐々になくなりました……当然です。当たり前のこと。私が悪い。でも……それはそれで、腹が立ってしまい、子どもがいないところで日常的に「無能男！」「稼ぎが少ない！」とののしっていました。

無関心を貫き続けながらもお小遣いを2万円に減らすなどの仕打ちを続けていると当然ながら夫婦の距離は離れる一方、気付けば子どものこと以外で私たち夫婦のつながりはもはや何もなくなっていました。

家庭内別居の状態になってしばらくして、私の父が亡くなりました。
お父さん子だった私のショックは計り知れず、家事も出来ないくらい落ち込みふさぎ込んでしまったんです。

そんな様子の私を見た夫は、普段私がしている子どもの送り迎えや、休日の野球クラブのお弁当作りなど、家事全般を黙ってやってくれました。

（光司に「ありがとう」って言わなくちゃ）と、分かっているのに言葉が出てこない。
素直になれない自分に気付くと同時に、これまで夫にしてきた酷いことが思い返されました。

次の日、朝ごはんの後片付けをしている夫に気持ちを伝えようとしていたのに、口から出た言葉は「余計なことしてないで、さっさと会社行って仕事しなさいよ！」でした。
（違う、違う、違う、言いたかったのは感謝の言葉なのに……）と思って夫の顔を見てみると彼はあきらめたように「ごめん……。」と。

それから夫が家事をしてくれることはなくなりました。（そうだよね……当たり前）。分かっているのにまたやってしまったと心の中ではこの状況をどうにかしたいと思っていました。

ある日、夜遅く仕事から帰ってきた夫が冷蔵庫にあるおかずを食べずにカップラーメンを食べた形跡を発見したときのこと。私は無性に腹が立って「冷蔵庫にある私が作ったおかずより、カップラーメンが好きなら一生そうしろ！」とメッセージを送信しました。
すると戻ってきた答えは「食べていいか分からなかったし、遅かったからガタガタするのも悪いと思って。ごめんね」だけでした。

（そっか、起こさないように光司は気を使ったんだ）そう分かっても私は既読無視。
なんで、素直になれなくなっちゃったんだろう……。
もう、食事は作らないという意味ではなかったのに、その日以来夫は家でご飯を食べることは無くなってしまいました。

夫は夜遅くに帰宅し、朝ご飯を食べずに会社に行くようになり、月のお小遣いはテーブルに置いておく。私たちは会話どころか接点までがゼロになってしまいました。

私は夫に前みたいに家で食事をして欲しくて「家族を無視して食事もしないなら、洗濯も掃除も自分のことは全部自分でやってください」とメッセージを送信。
絶対夫が折れて「ごめんね、家で食事するよ」って言ってくるはずだったのに、夫からは一言「分かりました」とだけでした。

私がやり過ぎている事も、間違った伝え方していることもちゃんと分かっているのに、どうして自分から謝ることがこんなに難しいんだろう……。

知らぬ間に変わっていた夫

ある日夫の洗濯物の中に見慣れないブランド物の下着を発見したんです。お小遣いはギリギリだし私が買った覚えもない……嫌な予感がして他の洗濯物も見てみると、見たこともないシャツや靴下が入っていました。

直観的に「まさか！」と思った私は持ち物や服をチェックしようと、しばらくぶりに夫の寝室に入りました。「え？」入った瞬間の違和感……この部屋には最低限のものしかなく、生活感が全くありませんでした。

この日を境に夫の行動が気になりだしました。今まで気にも留めなかった夫の持ち物や、帰宅時間を細かくチェックし、少しでもおかしいと感じると大声で問い詰めました。
その度夫は「ごめん」とだけ言って部屋に入ってしまい、会話の無い状態は相変わらずでした。

夫がどこで何をしているのか気になりだして夜も眠れなくなりました。そして今更ながら「月２万円のお小遣いで全部外食は無理」だと気が付いたんです。考えないようにしていたけど「他の女性の存在」を感じずにはいられませんでした。

（光司と話をしなくちゃ。話したいと思っているのに素直になれない。口を開けば罵声が飛び出る……）このままではダメだ、なんとかしなくちゃと気持ちばかりが焦りました。

私は女性の存在が気になり、ハッキリさせそうと探偵に夫の行動調査を依頼することにしました。調査の結果、夫は仕事の後に飲食店でアルバイトをしていました。さらにアルバイトのない日はシングルマザーの部下と一緒に帰り、その女性の家で過ごしていたことも分かりました。

私はそれを見て怒りが頂点に達しました。「絶対に光司のことを許さない！」
すぐに夫とその女性に慰謝料を請求。

「慰謝料を払わないなら離婚するし、親権も渡さない」と伝えました。
子煩悩な光司は子どもと離れることだけは嫌がりこれに懲りて改心するはずだと思っていたのに予想外にも
「そうしてください。もうこの生活は限界です。慰謝料、養育費は払います。」
と言われてしまったんです。

うそでしょう、こんなはずじゃなかった……。目の前が真っ暗になりました。
夫に「そういうことなら絶対に離婚はしない」と伝えると「お任せします」との返事。そして離婚届だけ置いて家にすら帰ってこなくなりました。

（離婚なんてしたくないのに。仲の良かったころに戻りたいのに意地を張り続けていた自分のせい）私は夫の不倫をやめさせて再構築したいと思っています。

これまでしてきた私の態度を夫が許してくれるかわからないけど、今度こそ、素直になってこの気持ちをちゃんと伝えたいと、今は心からそう思っています。

その後、凜さんは光司さんと話をすることができたそうです。

しかし、凜さんのこれまでの態度で出来てしまった、二人の間の深い溝を埋めることはとても困難で、離婚することに決めたそうです。

再構築、離婚、どちらの道を選んでも簡単なことではないですよね。
でも、真実を知り自分の本当の気持ちに気が付くことができたのです。
大きな一歩ではないでしょうか。

(2020.02.10)