親の遺産が入った羽振りのいい友達から借金
その日、叔父は夜中に帰って来ていたようでした。
次の日の朝、奈江さんが叔父に会うと、明らかに「暴力をうけた」様子で、
奈江さんは何も聞けませんでした。
その日の夜に家族会議が開かれ、母が叔父に何があったのかを聞いたところ、
家に来た男は確かに一緒に働いたことがある「同僚」だったそうですが、
最近では飲み仲間となっており、
「親の遺産がたくさん入ったから、金がなければ貸すから。返済はいつでもいい」
と頻繁に飲みや旅行に誘われ、叔父もそれに甘えてお金を借りていたと言うのです。
なんとその額400万円。全て飲み代やギャンブルに使ったそうでした。
しかしその男も自分が派手に遊び続けた結果お金がすぐに底をついてしまい、
叔父に、「金をかえせ」と取り立ててくるようになり、
とうとう家にまで来てしまったということでした。
もちろん叔父にお金はなく、
その男は奈江さんや母に「家族のお前たちが払え」と言ってくるようになりました。
執拗に家に電話をかけて来たり、押しかけて来たりするほか、
車に傷をつけたりなどの嫌がらせもするように……。
毎日の取り立てと脅し……叔父がだした決断
「俺のバックには●●組がいる。借りた金を返さなければ何をするかわからない」と、
まるでテレビやマンガで見るような怖い取り立てが連日続き、
家族は疲れ、憔悴しきっていました。
ある日母がしびれを切らして「私がお金を支払おうか」と言い始めたころ、突然叔父は失踪・・・
警察に届け出ましたが行方は分からずじまいでした。
しかし、1度電話がかかってきたことがあり、
その時は母に「元気にやっているから心配いらない。申し訳ない」とだけ言っていたそうです。
そして、叔父の失踪と同時に嫌がらせもピタリとやみ、
奈江さん一家に平和な日々が戻りました。
しかし、7か月前に母に重い病気が発覚しました。
奈江さんは手遅れになる前に「叔父」に連絡をしたいと思いましたが、
兄は「あの人は疫病神だからわざわざ呼び戻す必要はない」と猛反対。
奈江さんも一時は叔父のことはあきらめようと思いましたが、
「死」が近づいている母を目の前にどうしても叔父に知らせたいと思い、
探偵に叔父の所在調査を依頼しました。
聞き込みの結果、お金を借りていた男のおかげで叔父の居場所を突き止めることができました。
そして、母のことを報告。
叔父は泣いて謝罪し母に会いたい、兄に謝り許してもらいたいと言っていたそうです。
叔父は当時、これ以上奈江さん一家に迷惑をかけられないと思い、
突然姿を消したそうです。
そしてあるつてをもとに、期間工として点々と働いてお金を返していました。
今回は、叔父さんがまじめに働いてお金を返していたおかげで
「お金を貸していた側」の方からの情報で居場所を知ることができました。
人生山あり谷ありのこともありますが、
叔父さんがまじめに心を入れ替えていたおかげで
唯一の家族を失う前に会うことが出来ました。
奈江さんのお母さんも安心することが出来たでしょう。
本当に良かったですね。
(2018.04.10)