結婚話が進むにつれて……
裕美さんから妊娠したことを聞いた龍樹さんは、突然の告白に驚きましたが、
それと同時に心から喜びがこみ上げ、
「早く結婚をしないと」「彼女のご両親にご挨拶をしないと」などいろいろなことが
一気に頭に浮かんできていました。
突然のことで一瞬かたまってしまったのは事実ですが、
そんな龍樹さんを見て裕美さんは
「迷惑をかけるつもりはないし、結婚も考えてないから、子どもの認知だけしてもらえればいいよ」
と言ったのです。
龍樹さんは想像もしなかった裕美さんの発言に驚きましたが、
すぐに、結婚して家族としてやっていきたいことを伝えました。
すると裕美さんは「わかった。ありがとう。今日は帰るね」と、
その日はそのまま帰っていってしまいました。
前妻とは子どもに恵まれなかった龍樹さんは、
裕美さんが帰った後に「父親」になるということについて考えていました。
まだ、実感こそはありませんでしたが、
裕美さんが自分の子どもを妊娠してくれたという喜びがじわじわとこみ上げて来ていました。
つわりのせい?様子がおかしい彼女
後日、龍樹さんは改めてプロポーズをして、
すぐに裕美さんのご両親にも結婚のご挨拶に行きました。
龍樹さんの両親はもう亡くなっていたため、
両家の顔合わせは兄夫婦に参加してもらい、
お腹が大きくなる前に家族だけで小さな結婚式を挙げられたらと考えていました。
しかし、話が進むにつれて裕美さんの様子が急激に変化してきたのです。
態度は常にそっけなく、同居の時期もはっきりと決めずにやり過ごされていました。
しかも、店にまだ、妊娠のことも結婚のことも話していないようで、
普通に出勤し働き続けていました。
つわりやホルモンバランスの変化が関係しているのかなと、最初は思っていましたが、
裕美さんは「結婚することに前向きじゃない」と龍樹さんは感じ始めました。
妊娠の報告をしてくれたとき、
裕美さんが「結婚はしなくていい」と言っていたことも思い出され、
(なにかがおかしい)と感じ始めるようになりました。
彼女にほかの男がいる可能性は?
まさかとは思いましたが、他にも誰かいるのではないか?
本当に自分の子どもなのか?という不信感が大きくなり、
龍樹さんは探偵に裕美さんの行動調査を依頼することに。
調査の結果、なんと裕美さんは毎日のようにホストクラブに通っていることが分かりました。
裕美さんが通っているホストクラブは、
2部と言われる早朝から昼までの営業もしている店で、
龍樹さんが仕事に行っている時間に通っていたのです。
そして、そこには裕美さんのお気に入りのホストもいて、
なんとそのホストとは、アフターでホテルにまで行っていたのです。
さらにはホストクラブ代を稼ぐためか、
ホストクラブに行かない日の昼間は、風俗で働いていることも分かりました。
2つの衝撃的な事実を知った龍樹さんは、かなりのショックを受けていました。
お腹の子どもが自分の子どもかどうかは生まれて来てからではないと分かりませんが、
裕美さんはそのホストとの子どもであることを望んでいるのではないかとも感じました。
さらには、妊娠しているにもかかわらず、風俗勤務まで……。
龍樹さんは、裕美さんとの結婚をいったんは白紙に戻すそうです。
ホストクラブの事、お気に入りホストとのホテルの事、
風俗の事を知っていることも伝えると言っていました。
子どもが出来たので近くにいた誠実な男性・龍樹さんに認知をしてもらい、
養育費をもらおうとしていたのか、それとも本当に龍樹さんの子どもなのか……
真実は分かりませんが、今のこの状況では結婚がなくなるのは仕方がないこと……。
龍樹さんも、結婚前に真実が分かったことがせめてもの救いかもしれませんね。
(2018.08.24)