出会い系アプリでの出会いに反対
公私ともに一緒に行動することの多かった基夫さんと、康友さんの関係に変化が起きたのは
3カ月前のこと。
それは康友さんが「最近出会い系アプリでかわいい女性と連絡を取っている」と
基夫さんに打ち明けたことがきっかけでした。
アプリでの出会いを信じていない基夫さんは、
康友さんがその女性と「今度会うことになった」というのを頭から否定。
「お金を取られて終わる」「実は結婚している女性かも」など、どうにか会わせないようにと、
説得をしましたが、康友さんは聞く耳を持たず、その女性と会ってしまいました。
しかし基夫さんの心配をよそに、康友さんとその女性は3回目のデートで交際をすることに。
話を聞くと彼女は、母と娘2人で生活をしてきた苦労人で、今は会社員として頑張っているとのことでした。
恋愛が順調な康友さんは、基夫さんと過ごす時間が激減しました。
基夫さんは、そんな康友さんになぜかイライラし、
(俺たちのような者は、どうせ幸せになんてなれるはずがない。打たれ弱い康友のためを思って言っているのに)と、心のどこかで、自分の忠告をきかない康友さんを責めていました。
必要以上の叱咤をしてしまい
そんなある日、康友さんが仕事でミスをしてしまいます。
基夫さんがすぐに駆け付け、ミスは大事に至らずに済みましたが、
その日基夫さんは、職場でも家でも康友さんに懇々と説教をしました。
そして、最終的には
「お前は、何もわかってない。だいたい、彼女のこともそうだ。
お前が彼女と幸せになれると思っているのか?そんなことだから、仕事も出来ないんだ!」と、
彼女のことまで持ち出して、責め立てたのです。
次の日、基夫さんがいつものように起きて支度をしていると、康友さんが起きている気配がありませんでした。
部屋を見に行くと携帯電話も防寒着も置いたままで、康友さんはどこにもおらず、着の身着のままどこかへ行ってしまったようでした。
直感的に「出て行った」と感じた基夫さんは、
すぐに会社に連絡を入れて思い当たる場所を探し回りました。
康友さんの携帯電話から彼女にも連絡をしましたが、そこにも康友さんはいなく……
昨日、言い過ぎたことを後悔しながらも(思いつめてバカなことをしていなければいいが)と、
社長と共に失踪届を提出。そのまま探偵に人探し調査を依頼しました。
調査の結果、康友さんは少し離れたターミナル駅のベンチで発見されました。
突発的に家を出て、そこまでは歩いて行ったそうですが、
これから自分はどうしたらいいのか分からず、途方に暮れていたそうです。
迎えに来た社長と基夫さんの姿を見て、康友さんは何も言わず黙って2人に従いました。
基夫さんは、「昨日は言い過ぎた。すまなかった」と謝り、
「もしかしたら、幸せに前向きな康友に嫉妬をしていたのかもしれない」と、
今まで自分が思っていたことを、きちんと康友さんに伝え、
これからは康友さんを応援していきたいと言っていました。
直ぐに捜索したことで、康友さんを見つけることが出来たのは幸いでした。
これからは、基夫さんも前向きに自分の幸せを考え、
康友さんとの関係を大切にしていって欲しいですね。
(2019.03.29)