偶然見かけた娘の彼氏

ある日、翔子さんが友人と隣町のファミリーレストランでお茶をしていた時のこと、
その店に「田中さん」らしき人が入ってきました。
翔子さんがなぜ、すぐに「田中さん」だと認識できなかったかというと、
それは田中さんが30歳位の女性と二人の子供と
仲睦まじく楽しそうに入ってきたからでした。
しかし、似ていると思いながらその人を良く見ると莉央さんと交際中の「田中さん」に
間違いありませんでした。
一緒にいる女性と子供は誰？兄妹？その子供？まさか妻と子供では。
田中さんには実は妻子がいて、莉央さんが騙されていることを確信しました。

居ても立っても居られなくなった翔子さんは、田中さんに気づかれないように
ファミレスを出て、すぐに莉央さんに連絡を入れました。
「あなた、田中さんの家に行ったことある？　田中さんは独身だって確認してるの？」
と、田中さんのことを遠回しに聞いてみると、
なんと莉央さんは
「田中さんの家には行ったことはないけど、なんでそんなこと聞くの」
と言ったのです。
今日、田中さんとファミレスで偶然会ったことを説明すると、
莉央さんは「田中さんには姉や妹がいるという話は聞いたことが無い」とのことでした。
ということは、妻、子供の可能性が考えられました。

好き同士で交際しているから問題がない？

家でも交際は賛成できないと話し合いましたが、
莉央さんは
「結婚を前提に交際をしているのに、実は既婚者でしたでは、私は騙されていることになる」
直接、田中さんに聞いても既婚者だとしたら本当のことは言うはずがないので、
翔子さんと莉央さんは田中さんが既婚者なのか知るために、
探偵に行動調査をすることに。
調査の結果、田中さんが「莉央さんと交際しながら、家族の家に帰っていく」証拠を
しっかりとることに成功。田中さんに「どういうつもりか」を聞くつもりでいました。

翔子さんは、その報告書を見せて「考え直せない？　莉央の幸せのためだよ」と
再度諭しましたが、莉央さんは「うちらは、大丈夫。結婚するんだし。
ママが彼に何か言おうと考えているなら、このことは私から彼に話すから。
そしたら、離婚のけじめもつけやすくなるかもしれないし」と、
自ら田中さんに話すと言ったのです。

結果的に、莉央さんが
「ママが探偵をつけて、私たちが付き合っている証拠とって、
田中さんに連絡しようとしてるよ。早く奥さんとけじめをつけて、離婚すると、
ママに言ってほしい」と
田中さんに言った次の日から、田中さんとは一切の連絡が取れなくなったそうです。

田中さんは電話に出ることも、メッセージを返してくることもなく、莉央さんの前から
姿を消したのでした。
莉央さんは大きなショックを受けていましたが、翔子さんは（これでよかった）と
心の中でホッとしたと言っていました。
莉央さんが信じていた「結婚を前提にした交際」という言葉は、
田中さんにとっては「不倫をするためについた適当な嘘」だったのです。

莉央さんの次の恋愛は「不倫」ではなく、幸せな恋をして欲しいですね。

(2019.04.22)