ふらふら夜中に出歩くように……
はじめ、かをりさんは敏和さんが夜中に出て行っていることには気が付けず、
朝方トイレに起きた時に、帰ってきた敏和さんにばったり会ったことで
どこに行っていたのかを聞きましたが
敏和さんはそれに答えることなく部屋に入ってしまいました。
かをりさんが分かる範囲では週に3回くらい夜中に出かけて行って
朝方帰って来ているようでした。
しかし、それ以外は何も変わった様子はなく、
相変わらず部屋に引きこもる状況は続き、食事も買い物も全てかをりさん任せでした。
夜中にどこへ行って何をしているのか……
働きもせず家に引きこもり、未だに親からお金をもらい、
さらには夜中にどこかに遊びに行っている敏和さんに対して、
かをりさんは「外に出られるなら働いてほしい」「仕事をもって自立してほしい」と、
これまで以上に強く思い始めるように。
引きこもりの息子は何のために夜中に出かける?
話をしても、まともに話せないことは分かっていたので、
まずは夜中に何をしているのかを確かめるために、
探偵に敏和さんの行動調査を依頼することにしました。
調査の結果、予想外のことが分かりました。
なんと敏和さんは、深夜の短時間の清掃アルバイトを始めていたのです。
かをりさんが気付いた頃から働き始めていたようで、ちょうどひと月が経ったようです。
かをりさんは調査結果を聞き、黙って泣いていました。
敏和さんがどのような気持ちの変化で働き始めたのかは分かりませんが、
かをりさんの気持ちが届き
前に進んでいることにかをりさんは感動をしているようでした。
しばらくは知らないふりをして敏和さんを見守り、
この仕事が引きこもり生活からの卒業の第一歩になることを祈りたいと言っていました。
敏和さんがいつか、この仕事のことをかをりさんに打ち明け、
自立へむけて踏み出していけるといいですね。
(2018.08.01)