フルタイム勤務の両親とその息子……顔を合わせることが少ない家族の問題点 家族のトラブル
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いつもと同じでいつもと違う?

凛久君は家にいるときはほとんど自分の部屋で過ごしていたため、
悦子さんの帰宅時にリビングの電気が消えていることは珍しい事ではありませんでした。
その日も、リビングは真っ暗。
いつものように凛久君にドアのむこうから「ただいま」と声を掛けましたが、
その日は返事がありませんでした。
しかし、凛久君の部屋からは明かりが漏れていたため、
悦子さんは大して気にもせずに家事を片づけ明日の準備をしていました。

しかし、いつもならお風呂に入るはずの時間になっても、
凛久君は部屋から出てきませんでした。
悦子さんは
(寝ちゃったのかな?もしかして、具合が悪いのかな?)
と心配になり、ドア越しに
「凛久、お風呂入っちゃいなさい。具合悪いの?」
と声をかけましたが、凛久君からの返事はなく、
ドア越しに動いている様子も感じられませんでした。
悦子さんが、「開けるよ」と、ドアを開けると、
そこに凛久君の姿はありませんでした。

部屋は片付いていて、
机には携帯電話と「これからは2次元の世界で生きていきます」という書置きが……。
悦子さんは慌ててマンションの下まで降りて、
周辺のコンビニや公園を探しましたが凛久君の姿はどこにもありませんでした。

お留守番が得意だと思っていた息子の本音

悦子さんはすぐに徳二さんに連絡をして、警察にも通報しました。
徳二さんが駐輪場から凛久君の自転車がなくなっていることに気が付き、
悦子さんはポストから凛久君に渡していた家の鍵を見つけました。
「ここにはもう、帰ってくる気がないってこと?」
命の危険を感じた悦子さんは泣き崩れ、
徳二さんは「とにかく早く見つけ出そう」と探偵に家出調査を依頼することに。

調査の結果、家から車でも1時間半はかかる、
秋葉原の漫画喫茶の近くで凛久君の自転車が発見されました。
凛久君は漫画喫茶を拠点として、
昼間は秋葉原の町をふらふらしたりゲームセンターに行ったりして時間をつぶして過ごしていました。

悦子さんが迎えに行くと、
凛久君は「帰りたくない」と最初は反発していましたが、
凛久君は、「いつも家でひとり・・・自分がいなくなっても誰も心配しないだろう、
自由に一人で生きていこう」と考え家を出たと言っていました。
悦子さんは、これまで「凛久なら一人でも大丈夫」だと思っていたそうです。
しかし、凛久君が持っていた10万円近いお金はお小遣いの他に
お昼や晩御飯をいつもカップラーメンなどでやりくりして貯めたお金だと聞き、
きちんと食べていなかった事を知りました。
悦子さんは,母親なのに凛久のことを何も知らない、何もわかっていなかった、
今までさみしい思いをさせていた事に、やっと気が付いたと言っていました。
今からでも凛久との時間を大切にしたいと、仕事も時短に切り替えてもらうそうです。

それぞれ自分の部屋があっても、家族でコミュニケーションをとる時間は大切ですよね。
これからは、凛久君にさみしい思いをさせないように、
そして「思春期だから」とあきらめずにコミュニケーションをとっていってほしいですね。

(2018.09.07)

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