引きこもりの息子は、もはや居ないもの? 長期の引きこもり息子から逃げた家族と逃げなかった家族 家族のトラブル
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子育てに協力的でない夫が激怒

困り果てた里緒さんはその夜、夫の道長さん(55歳)に誠哉さんの事を相談しました。
道長さんは、昔から子育てには非協力的で、家の事は里緒さんに任せっきりの仕事人間。しかし里緒さんは家族の一大事にはいつも道長さんに相談をして、判断をゆだねてきていました。
ところが、誠哉さんの話を聞いた道長さんは、里緒さんが思っていた対応とは真逆でした。
「ふざけたマネして! お前が甘やかしすぎたんだろう!!」と、怒りながら誠哉さんの部屋へ行き、
「なんで学校をサボってたんだ! 嫌ならやめろ!そんな事じゃ社会に出てやっていけないだろう!」
と怒鳴り、そのまま親子喧嘩になってしまったのです。
口論の末、誠哉さんは壁に穴をあけ、それを見た道長さんは誠哉さんを殴り、
泣いて止めに入る里緒さん……最終的に、兄と弟が間に入って親子喧嘩は結論の出ぬまま終わりになりました。

次の日も誠哉さんは起きて来ませんでしたが、道長さんは「放っておけ」と、そのまま仕事に行ってしまいました。

誠哉さんは学校へ行くことも、部屋から出て来ることも無くなりました。
そしてこの状況の中、道長さんの海外転勤が決まりました。
若い頃から海外への短期・中期の出張はよくありましたが、
今回は自ら長期を望んでの転勤のようでした。

状況は変わらず、月日だけが経過

誠哉さんが部屋に引きこもり、あっという間に4年が経過しました。兄は社会人に、弟は大学生になり、この生活は家族にとって日常となっていました。
誠哉さんは食事も部屋で済ませるようになっていましたが、家に里緒さん以外誰もいない日には、誠哉さんは部屋から出て、里緒さんと一緒にテレビを見ながら食事をすることもありました。

家族で誠哉さんの話をする事は殆どなく、道長さんが海外から帰ってきた時も
誠哉さんについては一言も触れてきませんでした。
そんなある日、帰国していた道長さんと、誠哉さんが家の中でバッタリ鉢合わせてしまいます。
誠哉さんは固まって動けなくなっていましたが、
道長さんは「一体お前は、いつまでそうしているんだ!」と、誠哉さんに対していきなり大声をあげました。
そして突然怒鳴られた誠哉さんは、そのまま逃げるように家を飛び出してしましました。
事態に気が付き、誠哉さんの後を追おうとした里緒さんに対して道長さんは、「放っておけ。甘えてるだけだ」とだけ言い、翌日転勤先へ帰って行ってしまいました。
里緒さんは道長さんを見送ったその足ですぐに警察へ捜索願を出しに行きました。
しかし成人男性の事件性のない家出だと判断され、警察は里緒さんが思うように探してはくれませんでした。そして、探偵に人探し調査を依頼することに。

調査の結果、誠哉さんは近所の廃墟に入り込み、お金も、行く場所も無く、どうしたらいいのか分からなくなって隠れている所を発見されました。

迎えに行った里緒さんは、そんな誠哉さんに優しく声をかけました。
そしてすぐに家には帰らずに、車の中でゆっくりと話を聞くことに。すると誠哉さんは「少しづつでも前に進みたい」と話してくれたそうです。
里緒さんは、まずは部屋から出て、家族と接する所から始めてみたいと言っていました。

里緒さんは誠哉さんが立ち直ってくれるよう、誠哉さんの気持ちに寄り添いながら見守っていくそうです。
誠哉さんも今回の事で、その気持ちに少しでも応えたいと前向きになれたようでした。
これから少しずつでも外出したり、働けるようになるといいですね。

(2019.03.14)

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