再構築は思いの外、上手くはいかず

啓嗣さんは、不倫騒動後はそれまでよりも陽子さんに気を遣うようになっていました。
しかし、陽子さんは「不倫相手」を目の当たりにした事で、啓嗣さんとの夫婦生活を
拒否してしまうように……。
心の奥底にある「裏切られた」「汚い」という気持ちがぬぐえずに苦しんでいました。

不倫を辞めさせれば今まで通り、元に戻れると思っていた陽子さんは、
自分が思っていた以上に傷ついていた事に動揺していました。
そして、その苦しみから「離婚」の2文字が何度も頭に浮かびましたが、
その度に子どもの事が頭をよぎり

（子どもを片親にさせたくない）
（今のまま学校に通わせてあげたい）

その思いだけで離婚をとどまってきました。
というのも、娘の美奈さんは中学受験で第一志望の学校に見事合格し、
大学まで内部進学のある名門の私立学校に通っていたのです。
結婚後一度も働いた事の無い陽子さんが、美奈さんの学費を払いながら
親一人子一人で生活をしていく事を考えると、
今は、自分が頑張って啓嗣さんとの関係を良好に保つ事が
ベストだという結論にいつもたどり着くのでした。

休日は買い物に付き合ってくれる事が増えた啓嗣さんでしたが、
忙しい生活は相変わらずで、平日に晩御飯を一緒に食べる日は一度もなく、
会話する時間は殆どありませんでした。
不倫騒動後に寝室を別にした事も、会話が少なくなった原因の一つかもしれない……と
陽子さんは感じていましたが、自分から言い出した「寝室別」に関して、
今更「戻したい」とは言えずにいました。

2度目の裏切りで妻が決めたこと

そんなある日、陽子さんは啓嗣さんのスーツの内ポケットからコンドームを見つけました。
自分との夫婦生活が全くない中、避妊具を持っていた事に違和感を覚えた陽子さんは、
最近入っていなかった啓嗣さんの寝室へ行き、カバンやコートのポケットの中をチェック。
するとカバンの内ポケットから「あの」不倫相手と最近撮ったと思われるプリクラが出てきたのです。

陽子さんは怒りに震えすぐにまた探偵に浮気調査を依頼しました。
そして調査の結果は、前回と同じ相手と不倫をしている証拠が……。
あれから続いていたのか、再発したのかは分かりませんが、陽子さんは（またか……）と
ショックを受けたと言います。
そして、「今すぐには離婚はしません。だけど今回は絶対に容赦しません！」と言っていました。

両親に知られる事を一番嫌がっている彼女ですが、
内容証明郵便や訴状が届き、両親がこの事実を知る日はそう遠くはないでしょう。
啓嗣さんに対しても、今度は慰謝料をしっかり貰い、
また次不倫した場合の慰謝料や離婚時の養育費について、法律的に取り決めておくそうです。
2度も裏切られた陽子さんは、何か吹っ切れたように「今はまだ、離婚はしない」ときっぱりと言っていました。
その時が来たら、今回決めた「有利な条件」が陽子さんを助けてくれるでしょう。

妻を裏切り続けて来た啓嗣さん、
陽子さんが負った心の傷に対して、しっかりと責任を取って欲しいですね。

(2019.03.15)